多様性、高収入、就職力、安定性など公認会計士は人気の高い資格です。
ただし、会計関連の資格の中で最も取得することが難しい資格の一つでもあります。
そんな公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間と年数について、ご紹介していきます。
※この記事は10〜15分ほどで読むことができます。
公認会計士試験の合格率は低い!
国家資格のなかでも難しいとされる公認会計士は、医師や弁護士と並ぶ「3大国家資格」といわれることもあり、試験の合格率は低くなっています。
過去5年間の合格率
2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 | |
短答式Ⅰ回 | 12.1% | 12.9% | 13.0% | 15.3% | 12.3% |
短答式Ⅱ回 | 9.7% | 9.4% | 13.6% | 7.2% | 10.1% |
論文式試験 | 35.9% | 35.3% | 35.5% | 37.2% | 35.3% |
短答式については、7%~15%前後、論文式については、35%前後となっており、論文式のほうが合格率が高いですが、短答式を突破しないと受験できないので、難度の高さが伺えます。
また、短答式試験は年に2回(12月および5月)、論文式試験は年1回(8月)実施されます。論文式試験を受けるチャンスは年に1回しかないため、モチベーションの管理が重要になってきます。
さらに、公認会計士は試験に合格することができると税理士登録も可能です。そのことからも公認会計士試験が如何に難しいかが伺えます。
公認会計士試験の勉強時間はトータル何時間?
公認会計士の試験に合格するために必要な勉強時間は、最も少なくて3,000時間と言われています。
これは1年間に換算すると1日10時間で300日になります。
確かに、1年間で合格する方はこれぐらいの勉強時間が一般的です。
つまり、1年間で合格をしようと思ったら、毎日勉強漬けの生活を覚悟しなければいけません。
対して、2年間で合格する方は、合計では4,000時間以上勉強しているのが一般的です。1年目は1,500時間、2年目は2,500時間ぐらいの勉強時間が目安になると思います。
あくまで一般論であるので、もっと短い勉強時間の人もいれば、3年・4年と勉強し、5,000時間を超える人もいるのが現実です。
なので、公認会計士を目指すと決意した以上、3,000時間以上の勉強は必要だと認識しておかなければなりません。
勉強の3,000時間は費用対効果が高い!
ここで、3,000時間以上の勉強と聞くと、そんなに勉強しないといけないのか、大変だなと思うかもしれません。
しかし、社会人になれば、毎年2,000時間~2,500時間程度を仕事に費やし、それを40年~50年続けることになる。
そう考えると、3,000時間~4,000時間程度の勉強で、将来の可能性を大きく広げることができる公認会計士の資格を取ることは費用対効果が高いといえるのではないでしょうか。
長い社会人生活でやりがいのない仕事を毎日10時間、40年・50年継続することは相当な忍耐を要します。
どれだけやりがいのある仕事をやるかで、人生の充実度は大きく変わりますので、学生時代の2年間を費やす価値は十分にあると思います。
公認会計士試験合格までの年数は?
公認会計士の試験に合格するまでの年数は、平均して2年~4年程度と言われています。そのため、現実的な学習期間として、2年間は必要とすると認識しておいてもらうのが無難です。
もし1日10時間以上の勉強を学習開始時から最後までやり抜けるられるのであれば、1年間で受かる可能性があります。
仕事を退職し会計士の勉強に専念される方や、時間に余裕のある大学3,4年生の方であれば1年合格を目指すのも検討対象になります。
ただ、非常に大変ではあるので、事前に受講相談するのがおすすめです。
1年間で合格する方もいますが、割合としては多くありません。
基本的には、勉強期間は2年間というイメージを持つようにしましょう。
試験の難度が高いといわれる2つの理由
前述のとおり、合格率の低さから難度が高いといわれる公認会計士試験ですが、難度が高い理由はほかにも2つあります。
難度が高い理由①:科目数の多さ
公認会計士試験は、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法(会社法/商法/金融商品取引法)、租税法(法人税/所得税/消費税)のほか、選択1科目(経営学・経済学・民法・統計学より選択)で構成されています。
科目数が多いため勉強する範囲は当然広くなりますし、どの科目も専門性や難度が高いため、合格するには多くの勉強時間が必要です。
しかも、1次試験(短答式)はマークシート式、2次試験(論文式)は記述式と、1次試験と2次試験では試験方式が異なるため、それぞれに応じた対策が必要となります。
難度が高い理由②:一度に全科目受けないといけない
公認会計士試験と比較されることも多い税理士試験の場合、科目合格制のため1科目ずつ受験できるほか、合格した科目については恒久的に合格が認められます。
しかし、公認会計士試験はすべての科目を一度に受験しなければいけません。短答式合格、および論文式の科目合格というものはありますが、いずれも試験免除期間は2年間のみです。
つまり、科目合格制の税理士試験とは異なり、試験免除が認められている2年以内に論文式試験で最終合格できなければ、もう一度1次試験の短答式からスタートすることになります。
また、部分的に科目合格が認められているとはいえ、科目合格の基準はかなり厳しく設定されており、免除期間にもあまり余裕はないため、基本的には一発合格を見据えて勉強したほうがよいでしょう。
このような事情からも、勉強時間の確保が難しい社会人にとっては、公認会計士試験は特に難度が高い国家試験といえるのです。
他の試験と比較した時の難易度の違い
公認会計士試験の難易度は税理士試験や簿記1級と比較されることが多いのですが、ここではそれぞれの試験を比較したうえで、求められる能力や試験の受けやすさについて解説します。
税理士試験との難易度の違い
税理士試験と公認会計士試験を比較する場合、おおよそのイメージとして税理士試験には「暗記力」、公認会計士試験には「思考力」が求められると考えればよいでしょう。
もちろん、単純に比較できるものではないので、あくまでもイメージですが、試験科目の名称からもある程度推察できます。
例えば、税理士試験では「○○税法」というように、法律によって決められていることを学ぶため、数字や計算方法など丸暗記しなければならない要素が多くなります。
一方、公認会計士試験では「○○学」「△△論」のように考え方を学ぶ科目が多いため、思考力や理解力が必要とされやすいのです。
なお、試験制度の違いから、1科目ずつ受験できる税理士試験では、1回の受験における勉強量を抑えられる一方、公認会計士試験はほぼ一発勝負のため、受験に専念できる環境のある人が受験者に多い傾向にあるといえます。
この傾向は年代別の受験者数にも表れており、公認会計士試験では20代前半が最も多く全体の4割を超えているのに対し、税理士試験で最も多いのは40代以上の4割弱となっています。
また、公認会計士試験には受験資格が設定されていないことも、勉強時間を確保しやすい学生のうちに資格取得を目指す人が多い要因といえるでしょう。
簿記1級試験との難易度の違い
簿記1級の試験範囲は、公認会計士試験の試験範囲に含まれています。ですので、公認会計士試験と簿記1級試験を比較した場合、公認会計士試験のほうが勉強量は多く、難度は高いです。
公認会計士は簿記の延長線上にあるような資格であるため、先に簿記3級や2級を取得しておくことで、公認会計士試験の勉強を進めるうえで役立ちます。
公認会計士試験の勉強をするうえでも基礎がわかっていることはプラスに働くので、簿記3級・簿記2級を取得してから公認会計士試験の勉強を始めるのもよいでしょう。
まとめ
公認会計士は「3大国家資格」の一つで、合格率10%前後という高難易度の試験に合格しなければ取得できない国家資格です。
年齢や学歴などの受験資格の制限はなく、勉強時間を確保しやすい20代前半の受験者が最も多いのが特徴でもあります。
公認会計士試験は出題範囲が広いため独学で勉強するのは難しく、効率的に勉強するなら資格スクールや予備校に通うのがおすすめです。
CPA会計学院、TAC、資格の大原など資格スクールや予備校も様々です。まずは資格学校のパンフレットは無料なので資料を請求して、自分にあった資格学校を探してみましょう。
こちらの記事で公認会計士の予備校の比較を行なっているので、受験を悩んでいる方は参考にしてみてください。
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