ニュースなどでよく「GDP(国内総生産)」という言葉を聞くと思いますが、あなたはどれくらい答えられるでしょうか?
今回の記事では「GDP」について0から詳しく説明していきます。
GDPを理解して、ニュース、新聞の見方、理解度が高まり、国内の経済状況、世界経済についても自分で理解できる力を身につけるため、ぜひこの機会にこの記事を読んでみてください。
※本記事は5分程度で読むことができます。
中学生でもわかる GDPとは
結論から言うと、GDPとは「1年間に国内で生産された付加価値の合計」です
付加価値とは何か?言葉自体聞いたことがあるけれどもわからない方が多いと思います。
付加価値とは簡単に言うと「儲け」です。
GDPとは1年間で国内でどれだけ儲けたのかを示した額であると考えてください。
この意味さえ押さえておけば教養としては十分です。
教養以上に意味を理解したい、他の人と差をつけたいという方は続きを読んでください。
GDPとは
GDPは、「Gross(グロス)」、「Domestic(ドメスティック)」、「Product(プロダクト)」の頭文字をとったモノです。
「Gross(グロス)」とは、「総」や「粗」、「合計」という意味があります。
「Domestic(ドメスティック)」は「国内」という意味です。
「Product(プロダクト)」は「生産」という意味です。
なので、GDPは「国内総生産」と日本では訳されます。
ここまで読んだ方は、GDPとは、1年間に国内で生産された付加価値(儲け)の合計であると言うことわかったと思います。
ですが、正確にはさらに条件が決められています。
GDPは
- 一定期間に(1年間に)
- 国内で
- 生産された
- 固定資本減耗を含まない
- 原則、市場価格で表示した
- 付加価値の合計
なのです。
一つずつ確認していきましょう。
一定期間に(1年間に)
GDPは、一定期間(1年間)に生産された付加価値の合計です。
つまり、「1年間でどれだけ生産したか」「一定期間にどれだけ変化したか」という「フロー」という概念です。
フローとストック
フローとは、一定期間における変化量を意味します。
フローは、「FROW」と書き「流れ」という意味があります。
逆にストックとは、「貯める」という意味があり、ある時点における存在量を意味します。
預金残高、国債残高などがストックの概念です。
GDPはフロー変数であるため、預金や現金といったものは含めず国内でどれだけ生産(変化)したかを表しているのです。
国内で
言葉の通り、GDPは国内で生産されたものを計算します。注意したいのは、日本人であっても海外で生産したのであればGDPには含みません。
そもそも、「国民」とは国籍の有無の法的な概念ではありません。
総務省統計局は、外国人の場合、「本邦に入国後6ヶ月以上経過するに至った者」や「外国の法人などの本邦にある視点、出張所その他の事務所」などが居住者となります。日本人の場合は、「2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者」を非居住者とするとしています。
この考え方は、のちに解説するDI(国民所得)、NI(要素表示の国民所得)の際に、重要となるので少しだけ覚えておきましょう。
生産された
GDPは生産された儲けを合計するので、生産されていない儲けは合計しません。
1、中古市場
中古市場の取引は、過去に生産されたモノの所有者が変わるだけで、生産されてはいないためGDPには含まれません。
しかし、中古市場の取引の仲介手数料は「仲介サービス」という付加価値を生産しているので、GDPの計算に含まれます。
2、株式や土地などの資産価格の変化
こちらも中古市場と同様の考えで、株式や土地などの資産価格上昇で儲けた人がいたとしても、新たに生産されたわけではないため、そのような資産価格上昇で得た儲けはGDPに含まれません。
また、中古市場と同様、株式や土地の取引の仲介手数料は「仲介サービス」という付加価値を生産しているので、GDPの計算に含まれます。
固定資本減耗を含まない
固定資本減耗とは、生産により、機械などがすり減って、機会などの価値が減少することを言います。
前述で触れた、GDPの「Gross」の「粗」とは差し引いていないという意味で、固定資本減耗を差し引いていないという意味があるのです。
なぜ、固定資本減耗を差し引かないのかというと、価値の減少額とは正確な数字が出しにくいからです。
GDPは日本だけでなく世界的に使われている数値です。各国の生産量を比較する際に、固定資本減耗を引いてしまうとどうしても主観的なものが入るとともに、全てを正確に把握できないため比較しづらくなってしまいます。
そうなってしまうのであれば、全て含んで比較してしようということです。誰が計算しても誤差が出にくくなり、統計的に良いデータが集めれるため固定資本減耗を含まないのです。
原則、市場価格で表示した
なぜ市場価格でなければいけないのでしょうか。
なぜなら、モノの価値というものは人によって様々ですが、ある市場価格で取引されていると仮定すれば、客観性と納得性がつくからです。
そのため、主婦の家事労働というのは確かに家庭に豊かさを与えるものですが、市場で取引されていないためGDPの計算には含みません。
しかし、その家事労働が家政婦がやるとすると、GDPの計算に含まれます。それは家政婦というサービスとして人々に消費されていると考えられるからです。
付加価値の合計
付加価値の合計は「儲け」と説明しましたが、「売上」の合計ではないということはとても重要な点です。
あなたが本を1,000円で、えんぴつを200円で買ったとしましょう。
本の出版会社は本を売るために500円、えんぴつを売る会社は100円を働いている人の給与に使いました。
単純1000円+200円=1200円と考えている人もいるかもしれませんが、
GDPは500円+100円=600円となります。
付加価値=売上―原材料(売るためにかかったお金)なのです。
これは中間生産物(原材料)の二重計算を避けるために重要な考え方なのです。
統計とは、誰が計算しても同じようになるシンプルなモデルが適しているのです。
そのため長年世界的にGDPが用いられているのです。
例外項目
GDPに含まれない項目、例外的に含まれるものがあります。
- 農家の自家消費
農家が自分で作った農産物を消費することを「農家の自家消費」といいます。この場合、農家が自分自身で農産物を売って、お金をもらうということは基本的にしません。市場取引が行われないということです。
しかし、農家が自家消費した農産物も確かに自分で生産され、消費されています。そのため、この農家の自家消費分を、農家は自分で作ったものを自分で買ったと考えて、GDPの計算に含まれます。
- 帰属家賃
持ち家に住んでいる人が、あたかも自分で自分に家賃を支払っているように考えることを帰属家賃といいます。
持家を持っている人は大家も借主も自分自身なので、自分に家賃を支払ったりはしません。しかし、月10万円の持ち家に住んでいる人は、毎月10万円の幸せがあります。この幸せの分をGDPに反映させるために、持ち家を持っている人は、借り主であるその人あg、大家でもあるその人自身に家賃を支払っていると考えて、この仮の家賃をGDPの計算に含まれます。
- 公共サービス
国防、警察、行政などの公共サービスは、その費用は税金で負担されており、市場では取引はされません。しかし、公共サービスは確かに価値を生産し、国民の幸せに貢献しています。
そのため、公共サービスも例外的にGDPの計算に含まれます。
価格がないのにどうやって計算するのかという疑問を持つ人もいるかもしれません。公共サービスは提供にかかった費用で計算し、GDPに含まれます。
まとめ
GDPの意味、計算方法について理解していただけたでしょうか?
GDP(国内総生産)は誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、意外にも意味や計算方法を知らないと思います。言葉の理解、どうやって求められているのかというのを知ると、ニュースや新聞の見方、質が大きく変わるので、よく確認しておきましょう。
ちなみに、日本のGDPは米国、中国に続き世界3位です。
しかし、近年は世界と比べるとGDP成長率は低成長となっており、世界4位のドイツに数年後に抜かれるとも言われています。
日本のGDPのうち約60%は民間消費、私たちの消費となっています。そのため、GDPが成長していないのを政府だけのせいにせず、一つでも多くモノを買い景気を良くしていかなければいけません。
また、GDPは様々なマーケットに大きな影響を与えるため、投資をする上でも重要な経済指標となります。このサイトを通じてもっと経済の用語について理解が深まるきっかけとなれば幸いです。
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